こんにちは。パッチSmileです!
救急外来や集中治療室などで働いているとNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)を行うことって良くありますよね。
一般病棟でも、緊急時に使用することがあるかもしれません。
- NPPVって何?
- NPPVのメリットとデメリットは?
- NPPVの適応は?
- NPPVが適応にならない時ってどんな場合?
そんな疑問を解決します!
この記事を読むと、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の適応と禁忌事項、メリットとデメリット、NPPV使用中の観察ポイントまで理解することができます。
本記事の内容!
- NPPV
(非侵襲的陽圧換気療法)とは? - NPPV
(非侵襲的陽圧換気療法)
メリットとデメリット! - NPPV
(非侵襲的陽圧換気療法)の適応! - NPPV
(非侵襲的陽圧換気療法)の禁忌! - NPPV
(非侵襲的陽圧換気療法)の看護!
この記事を書いているパッチ。
詳しいプロフィールはこちらから。
そんなパッチが解説していきますね。
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)とは?
NPPVとは?
従来の気管挿管や気管切開下人工呼吸とは異なり、侵襲的な気道確保を行わずに、鼻マスクや鼻口マスク、フェイスマスクなどを用いて補助換気を行う治療法となります。
手軽に補助換気ができるようになったのは便利ですよね。
ただエアロゾルが凄く発生するリスクがあるので、ウイルスなどの感染に注意が必要ですね。
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)のメリットとデメリット!
NPPVのメリット!
NPPVのメリット!
- 気管挿管や気管切開の必要がない
- 人工呼吸器関連肺炎(VAP)が軽減できる
- 装着・中断・離脱が容易
- 食事や会話が可能
- 日常生活動作の制限拡大
- 入院期間の短縮
NPPVのデメリット!
NPPVのデメリット!
- 患者さんの協力が必要
- 気管と食道へ送気してしまうため、誤嚥のリスクがある
- 高気道内圧がかけられない
- マスクなどの圧迫により皮膚障害が形成される可能性がある
- エアロゾルが発生するリスクがあり、感染対策が必要
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の適応!
NPPVの適応!
- 意識が清明でマスク装着に協力的
- 循環動態が安定している
- 気道が確保できている
- 喀痰の排出ができる
- 顔面の外傷がない
- マスクを装着することが可能
- 消化管の閉塞などがない
呼吸が辛い時は、NPPVを装着すると楽になります。
楽になってもずっと装着しているのは苦痛ですよね。
苦痛を緩和することがとても大切ですね!
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の禁忌!
NPPVの禁忌!
- 患者さんの協力が得られない
- 意識状態が悪い
- 気道が確保できない
- 上気道が閉塞している
- 咳嗽反射が無い、または弱い
- 心停止や呼吸停止
- 循環動態が不安定
- 気道分泌物が多く排出できない
- 顔面の手術後や外傷、熱傷がある
- 腹部や食道の手術後
- 嘔吐や腸管の閉塞がある
- 上部消化管出血がある
- 気胸がありドレナージされていない
- 不安定狭心症や心筋梗塞の可能性がある
- 2つ以上の臓器不全がある
このような場合はNPPVが使用できず、気管挿管や気管切開となります。
気管挿管や気管切開した場合は人工呼吸器で管理することとなります。
気管挿管についてはこちらから。
NPPVの換気モードについて!
NPPVの換気モード !
- Spontaneous(S)モード!
自発呼吸のみを補助! - Timed(T)モード!
設定した分時呼吸数とIPAP時間に従って調整換気を行う! - S/Tモード!
自発呼吸に応じてSモードの運転を行う。一定時間内に自発呼吸が検出されない時にバックアップとしてIPAP(患者さんが息を吸った時にかかる陽圧)が供給される! - CPAPモード!
吸気・呼気共に一定の圧をかける!
IPAPやCPAP、EPAPって何?
って話になりますよね。
用語を簡単に整理しておきますね。
- IPAPとは!
吸気時にかかる陽圧のこと。 - EPAPとは!
呼気時にかかる陽圧のこと。 - CPAPとは!
常に一定の陽圧をかけるモードのこと。
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の看護のポイント!
マスク装着時のポイント!
- 口の廻りにフィットする最小のサイズを選ぶ
(あごの下にマスクが落ちないもの) - 睡眠中に口が開いても唇がはみ出ない
- 目にあたらない
- 鼻孔が挟まったり閉塞しない
- きつく締めすぎない
- リークの調整をする
- リークは上方向を避ける
- マスクは左右対称になるように固定する
リークの許容範囲!
リークの許容範囲は50~60L/分以下となります。
リーク量は30~40L/分前後を目安とするといいですよ。
NPPVのモニターでリークを確認しながら装着するといいですよ。
皮膚障害の予防!
- 患者さんに適したマスクの種類を選択する
- 患者さんに適したサイズを選択する
- 固定はきつく締めすぎない
- 圧迫部位に皮膚保護シートを用いる
- 皮膚を清潔に保つ
口腔・鼻腔内・粘膜の乾燥予防!
- 加温加湿器の調整
- リークの調整
- マスクの種類やサイズの調整
- 保湿剤の使用
- 点眼の検討
腹部膨満の予防!
- 設定圧の調整・検討
- リークの調整
圧迫や不快感の予防!
- 固定は強くしめすぎない
- マスクのサイズや種類を検討
- リークの調整
- 設定圧の調整・検討
病状が安定してきたらNPPVの休憩時間を医師と相談するといいですよ。
最後に!
アラームがなんでなってるの?
そんな疑問よくありますよね。
アラームが鳴っている原因と対処法についてポイントをまとめておきますね。
NPPVアラームの原因と対処法!
Apnea(アプニア):無呼吸!
- 原因!
呼吸をしていない、自発呼吸が弱くなっていないか
対処法!
患者さんの容態を確認、回路に大量リークがないか - 原因!
吸気をトリガーできていない
対処法!
回路にリークがないか、自発呼吸が弱くなっていないか - 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
アラーム設定の見直し
Disconnect(ディスコネクト):回路接続不良!
- 原因!
回路の不接続・大量のリーク
対処法!
呼吸回路およびマスクからの漏れを確認
Exh.Port(エクスハレーションポート):呼気ポート!
- 原因!
呼気ポートの詰まり
対処法!
痰の付着などで呼気ポートが詰まってないかを確認 - 原因!
マスクへの酸素添加
対処法!
マスクのポートへ酸素を添加していないか確認
Hi P(ハイプレッシャー):気道内圧上限
- 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
Hi P設定がIPAP設定以下になっていないか確認 - 原因!
吸気時に患者さんが咳をした
対処法!
Hi P設定がIPAP設定に近い設定になっていないか確認
Hi Rate(ハイレート):呼吸回数上限
- 原因!
患者さんの呼吸回数の上昇
対処法!
患者さんの呼吸回数を確認 - 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
Hi Rate設定を見直す
Lo Min Vent(ローミニベント):分時換気量下限!
- 原因!
回路の不接続・大量のリーク
対処法!
回路やマスクからの漏れを確認 - 原因!
呼吸回数または一回換気量の低下
対処法!
実測値MinVent及びVtを確認 - 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
Lo Min Vent設定を見直す
Lo P(ロープレッシャー):気道内圧下限
- 原因!
回路の不接続・大量のリーク
対処法!
回路やマスクからの漏れを確認 - 原因!
不適切な低圧ディレイ設定
対処法!
Lo P Delay設定が短くないか確認 - 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
Lo P設定がIPAP設定より高くなっていないか
Lo Rate(ローレート):呼吸回数下限
- 原因!
患者さんの呼吸回数が減少
対処法!
患者さんの呼吸回数を確認 - 原因!
吸気をトリガーできていない
対処法!
回路およびマスクからの漏れを確認 - 原因!
不適切なアラーム設定
対処法!
Lo Rate設定が多くないか確認
O2 Flow(オーツーフロー):酸素供給圧低下
- 原因!
酸素供給圧が50psig以下になった
対処法!
酸素配管の接続確認
P Regulation(プレッシャーレギュレーション):設定と実測の差圧発生
- 原因!
大量のリーク
対処法!
回路やマスクからの漏れを確認 - 原因!
回路の閉塞
対処法!
回路閉塞の確認、吸気フィルターの詰まりを確認
よくあるアラームをまとめておきました。
アラームが鳴った時にわからなくなったら、目次からすぐに入れますのでご確認下さいね。
アラームが改善されない場合は、臨床工学技士さんやメーカーさんに相談してみて下さい。
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の看護のまとめ!
- NPPVは挿管や人工呼吸器に比べ侵襲が少ない!
- NPPVはメリットとデメリット、適応と禁忌がある!
- NPPVの適応にならない場合、気管挿管や気管切開の介助を行い人工呼吸器を準備する!
- NPPVを使用する時は、患者さんに適したサイズと種類を選択する!
- NPPVを使用した時は、皮膚障害の予防や患者さんの苦痛の緩和に努める!
最後に!
ここではNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)のポイントをまとめました。
NPPV使用中は、定期的に血液ガス分析を行うと思います。
PaO2やPaCO2などの変化を観察してみて下さいね。
NPPVを離脱したら、酸素療法になるかもしれません。
酸素療法の看護についてはこちらをご覧下さいね。
パッチSmile!
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