【外傷の看護②巻】生命に危険のある外傷の対応!Primary survey!

【臨床で役立つ】看護知識!

こんにちは。パッチSmileです!

外傷について①巻では、生命に危険のある外傷、高エネルギー外傷などについてまとめてきました。こちらから見れます。

ここでは、生命に危険のある外傷を医療機関が受け入れた時に、どのような観察や処置、対応が必要なのかをPrimary surveyについてポイントを絞って易しくまとめました。

Primary surveyとは何なのか、どういうことをすればいいのか、その辺りを易しく解説していきます。

Primary surveyとは?

外傷による重症者などに対して、生命維持のための生理機能を迅速に評価し、必要な治療を直ちに開始するこの手順をPrimary surveyといいます。

救急車受け入れから初療収容までの間に!

救急車が病院に到着したら、救急外来の医師や看護師は直ちに患者さんの所へかけつけます。

ER(救急外来)救急車入口から患者さんが入ってきたら直ちに患者さんに接触し、 患者さんの気道や呼吸状態、循環状態、意識や体温などを救急車受け入れから初療室へ移すまでの短時間で第一印象を把握します。

第一印象の把握

患者さんと接触したら、直ちに
A(気道)B(呼吸)C(循環)
D(意識)E(体温)
を素早く評価して緊急度を把握する。

  1. 患者さんに声をかけて発声がなければ、気道の異常(A)や意識の障害(D)があると判断する。
  2. 呼びかけと同時に胸部などをみて呼吸(B)を確認する。
  3. 手で抹消の皮膚や脈に触れ、循環(C)と体温(E)を観察する。

初療室に収容したら!

モニター装着、酸素投与、末梢静脈のルート確保、脊椎運動制限の解除、脱衣を行っていきます。

胸部、骨盤のポータブルX-P撮影の依頼やエコーの準備が必要となります。

ABCDEアプローチについてポイントを記載していきます。

ABCDEアプローチのポイント!

A:気道の評価・気道確保・頸椎保護
呼吸異常や異常音、喘鳴や嗄声、異物など気道に何等かの問題があれば吸引やエアウェイ、輪状甲状靭帯切開などの処置が必要になることがあります。

気道管理の処置を行う場合、頸椎カラーの前面のみを外し両手で頭を支え、頸椎を保護して行う必要があります。

B:呼吸の評価、致死的な胸部外傷の処置
呼吸数や胸郭運動の左右差、胸壁の変形や動揺、気管変位や頸動脈怒張、皮下気腫やSPO2の低下などの観察が必要となります。

酸素投与や胸腔穿刺などの処置が必要になることがあります。

検査は胸部X-Pを実施する必要があるので放射線技師を直ちに呼ぶ必要があります。

C:循環評価および蘇生と出血
ショック症状の確認が重要となり、皮膚所見や脈拍や血圧、意識の変容などを把握します。

外出血がある場合は、圧迫止血などで止血処置が必要となります。

静脈路の確保や輸液・輸血の実施。出血源の検索や止血処置を行っていく必要があります。

検査は医師がエコーを実施しFASTの確認を行っていきます。胸部骨盤のX-Pも併せてみていくことになります。

胸腔内や腹腔内、後腹膜などに出血を認めた場合は、緊急手術になることがあるので手術の準備が必要となります。

心タンポナーデや緊張性気胸などを認めた場合、穿刺や手術などの準備が必要となります。

D:生命を脅かす中枢神経障害の評価
意識障害の中で、特に切迫するD(意識)に注意が必要です。

切迫するDとは、GCS8点以下、急速に2点以上の低下、脳ヘルニア兆候(瞳孔不同、片麻痺、血圧上昇や徐脈などのクッシング現象)がみられた場合のことです。

切迫するDがみられた場合は、脳外科医のコールとCT準備が必要となります。

CT検査はABCの安定した後に撮影することが原則となります。

E:脱衣と体温管理
衣類を切って、外出血や開放創の有無を観察します。

状態によっては、止血処置が必要となることもあります。

低体温を予防するために、保温に努めていきます。

尿道損傷などがなければ、温度センサー付き膀胱留置カテーテルを挿入し体温や尿量の管理をすることも必要となります。

胃拡張を解除する目的で、胃管を挿入することも必要となります。

見逃してはいけない、危険な損傷と病態!

TAFな3X(致死的な胸部外傷)MAP(大量出血の原因)って聞いたことありますかね。

致死的な胸部外傷や大量出血のことで、損傷や病態、必要な処置について記載しておきますね。

TAFな3X、MAP

T:Caridiac tanponade
心タンポナーデ
(心嚢穿刺・心嚢開放術・止血)
A:Airway obstruction
気道閉塞
(確実な気道確保)
F:Flail chest
フレイルチェスト
(確実な気道確保・陽圧補助換気)
X:Tension pneumothorax
緊張性気胸
(胸腔穿刺・胸腔ドレナージ)
X:Open pneumothorax
開放性気胸
(創閉鎖・胸腔ドレナージ)
X・M:Massive hemothorax
大量血胸
(胸腔ドレナージ・止血)
A:Abdominal hemotage
腹腔内出血
(止血)
P:Pelvic fracture
後腹膜出血・骨盤骨折
(止血・創外固定)

大量血胸のXとMは重複しています。

TAFの3X、MAP以外にも切迫するD低体温も生命を脅かしますので注意が必要です。

覚え方は、TAFな3XMAPでDH。
もしくはTAFな3X、MAPと切迫するD、そして低体温!
人それぞれ覚えやすい方法でいいかと思います。

まとめ!

  • Primary surveyとは、外傷による重症者などに対して、生命維持のための生理機能を迅速に評価し、必要な治療を直ちに開始する手順のこと!
  • ABCDEアプローチを理解して
    Primary surveyを迅速に行う!
  • TAFな3XMAPでDHを理解して
    迅速に対応する!

最後に!

Primary surveyで、ABCが安定していれば、Secondary surveyへと移行します。

Secondary surveyについては、こちらをご参照下さい。

外傷について①巻では、生命に危険のある外傷の概論的な事をまとめています。

見ていない方はこちらからご参照下さい。

引き続き、記事を作成していきますので、少しお待ち下さいね。

いつも見て頂きありがとうございます。

パッチSmile!

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